スタッフブログ
2025年04月18日

とても残念なコト

みなさんおはこんばんにちは

木楽舎代表の安東です

 

昨日からですか

夏がフライングしたかのような

暑さが続いていますね・・・

 

元は貸事務所だった木楽舎の事務所は

西に向かって大きな窓が

庇もなく並んでいます

 

 

冬の間はこの日差しが

天然の床暖房になるので

本当にありがたい限り

 

しかし暑い時期になるとこの日射が

灼熱地獄を生み出す装置となります・・・

 

ここで一つ

とても残念なことを思い出します

 

木楽舎にご相談いただく方は

性能にこだわらない方が

多いのですが(良い意味で)

 

やはり断熱性に興味のある方も

いらっしゃいますし

そのこと自体は悪い事ではないと

思っています

 

ただ、質問で挙がるのは決まって

「UA値はいくらですか?」

「C値はいくらですか?」

の2点のみなのです

 

こんな時

「世の中の情報発信が偏っているなぁ・・・」

と(怒られることを承知で)感じてしまいます

 

確かにUA値もC値も

それぞれ単体で見れば

数値が良いに越したことはありません

 

しかしこれらの数値の高さと

夏の快適性が比例するかどうかは

全く別の問題なのです

 

そもそもこの4月から

「建築物省エネ法」という法律で

住宅にも一定以上の断熱等性能を満たすことが

(ようやく)義務化されました

 

 

↑の図はその満たすべき基準値で

地域ごとにその数値が違うことが分かります

 

その中で何やら見慣れない文字が・・・

ηAC

 

何と読むか分かりますか?

答えは「イータエーシー」です

 

これは簡単に言えば

「夏の間に日射熱が入ってくる量」

を表す数値で

 

図をよく見ると

だいたい関東より以南の

温かい地域に設定されている

数値基準であることが分かります

 

つまり

「西日本は夏の暑さがキツいので

住宅の日射対策をしなさいよ」

という国からのメッセージ

 

本来はこれも義務化されているので

情報を発信する側も

しっかりと住まい手さんに

伝える必要があると思うのです

 

しかし、住まい手さんは

ηACのイの字も知らない・・・

 

それはなぜか??

 

UA値を基準値に納めてさえいれば

ηAC値が基準値を超えることは

ほぼほぼないことがその原因だと

個人的には考えています

 

日ごろ温熱計算をしていると

ある程度の断熱性を持っていれば

どんなに頑張って庇や軒を減らしても(笑)

ηAC値を基準オーバーにすることは

不可能に近いのです

 

ここで試しに夏の日(晴れ)に

エアコンなしで暮らした場合の

シミュレーションをいくつか

比較してみたいと思います

 

まずは

4月からの義務化ギリギリライン↓

床面積32坪くらいの総2階で

軒や庇はないけれど

風通しはしっかり考えられている

というお家のリビングをイメージしてください

 

※UA値の横に「程度」と書いているのは

室温のシミュレーションには

UA値を使うことができないので

他の数値を利用しているという理由です

(詳しくは直接聞いてください)

 

外の気温が下がるタイミングで

窓を開けてはいるものの

夕方4時ごろの室温が38.04℃

 

これではそよ風が吹いたとしても

体感温度が35℃を超えるため

自然室温では暮らすことができません

 

続いて断熱性を

いわゆる「ZEH(ゼッチ)」レベルまで

上げた場合↓

いかがでしょうか?

 

断熱性は上がったのに

ピークの室温はほとんど

変化していません

 

哀しいかな・・・

「高断熱だから涼しい」というのは

エアコンを使う場合に限るお話なのです

 

続いて

同じくZEHレベルの断熱性に

最低限の庇を付けて

そこそこ日射遮蔽をした場合↓

ここで一気に

ピーク室温が1℃以上下がりました

 

それでもまだ

通風時の体感温度は34℃程度

 

これを32℃以下にできれば

熱中症のリスクがかなり軽減できます

 

さらに続いて

ZEHレベルの断熱性に

軒庇を適切に出して

しっかり日射遮蔽した場合↓

ここでようやく

ピーク室温が35℃台に!!

 

ここまでくれば

通風時の体感温度が32℃を

下回る時間が増えるので

エアコンに頼る時間も

大幅に減ることになるでしょう

 

さて更に一歩踏み込んで

最近にわかに脚光を浴びている

HEAT20のG2グレードまで断熱を高め

しっかり日射遮蔽をした場合↓

ここでもやはりピーク室温は

ほとんど変化がありません

 

こういうことを整理しないままだと

「高い断熱性があると

エアコンの効きが良くて室内が快適だから

窓なんて小さくてもいいでしょ!」

というお家がどんどん増えることにつながり

子どもたちや日本の街並みにとっては

非常に危険なのではないかと

ハラハラしてしまいます・・・

 

ほら、イータと言えばいつか

「どんなに恐ろしい武器を持っても

たくさんの可哀そうなロボットを操っても

土から離れては生きられないのよ」

と警鐘を鳴らしたラピュタの王女さまが

いましたよね?

 

・・・あれはシータか

 

冗談はともかく

夏の日射を遮る大切さは

私日本人にとっては

ごく当たり前のことだと思います

 

数値にこだわりすぎる前に

まずは日除けを考える

という当たり前のプロセスで

すべての住まいづくりを

進めていくべきだと思いますし

 

そうすることで

私たちや子どもたちが

自然の心地よさに触れる機会が

ぐ~んと延びるのであれば

この上ないことだと思います

 

明日からの見学会のお家も

そんな想いから

しっかりと日射遮蔽をしています

 

 

明日も暑くなりそうですが

室内はきっと驚くほど

ほど良くヒンヤリして

気持ちがいいと思います

 

まだ午後に若干の空きがあるので

良ければご予約ください◎